橘玲さん著作、読書メモ4回目です。投資関連の本です。こういう話はぼくはとても疎いのですが、今回は読んでその分とても勉強になりました。とは言え、投資しようにもぼくの場合はマンションの住宅ローンがあるので、投資よりまず返済のほうが優先度高いですが…。余裕が出来たら本でオススメされてるインデックスファンド + ドルコスト平均法やってみたいです。

人的資本と金融資本
人的資本は働いて稼ぐ事で、金融資本は金融資産+不動産+年金資産+相続財産です。 人的資本は ①スキルを上げて高い報酬を得るか、②定年後も働いて長期間報酬を得続けるかで高めることができるとあります。特に②が重要で、たとえば老後に1億必要と言われるのは現在の定年で無職になる事を前提としているので、であれば長く働けばそれは関係なくなると書いてます。①も②もできるのが理想ですが、②だけでも十分価値があるというのは確かにそうですよね。たとえば高スキルでも身体壊したら意味ないわけですし。(②のベースとして必要になるの何でしょうね。健康がまず大事で、多角的な専門性、あと評価&顧客構造?)金融資産は年取ってから大事になります。
宝くじは愚者の税金
宝くじの期待値(還元率)は50%を切っているそうです。これがどれだけ低いかというと、ラスベガスのルーレットが95%、パチンコ97%、バカラ99%、競馬で75%となっているのでダントツで低いとか。宝くじ、そういえばしばらく買ってないです。
生命保険の手数料率
よく知られている事ですが生命保険の手数料率は高く、悪いもので6割あるそうです。とは言っても対面販売型のものの事なので、ネット保険や共済はその限りではないです。生命保険は必要な時のみ最小限にすべし、とあります。何事もなんとなくで流されて入るのが一番良くないですね。そういえば、ぼくは住宅ローンで必須だったので団信入ってますわ。。
日本では健康保険で十分
健康保険は3割負担だが、高額医療保険の場合は1ヶ月あたり9万が自己負担の上限になるそうです。気になるのは入院の場合ですが、まとまった貯金(100万)があるのであれば3ヶ月程度は支障ないわけなので医療保険に使うよりも投資など運用したほうが良いですよ、と書いてあります。今は入院しても平均18日程度で、3ヶ月以上の入院になるのは稀なケースにあたるそうです。ちなみに健康保険って入院も手当してくれるんですね。
資産運用の4原則
- 確実に儲かる話はあなたのところには絶対に来ない
- 誰も他人のお金の事を真剣に考えたりはしない
- 誰も本当のことは教えてくれない
- 自分の資産は自分で守るしかない
投資詐欺に引っかかるのは悲惨なので、そもそもうまい話は無視するのが一番という事のようです。
株価はどのようにして決まるか?
株価 = 1株あたり純利益(EPS) / 金利
これで株が割安か割高か判断する事ができるそうです。
益周り = EPS / 株価
これは利息と同じものなので高ければ高いほど良いという事になるそうです。PERという指標を使う場合は低いほど良い形になるそうで、PERが用いられる事も多いみたいです。益周り5%以上であれば割安ですし、益周り5%以下であれば割高でもう売ったほうが良いとか。
インフレで金利は上昇する
確かに言われてみれば当たり前なんですが、インフレの場合は預金してても金利が低かったら実質価値が目減りしてしまうので誰も銀行にお金を預けなくなってしまいます。なので、インフレ分だけ金利を上げる事になる。デフレだと逆で価値は目減りしないので金利も上昇する必要はないという事でしょうか。他にも何か要素あるのかな?
低パフォーマンスの日本株と日本企業のROE
2014年の日本株のPERは24.5%でアメリカ株はPER18%だったとか。なので、アメリカ株のほうがパフォーマンスが良いと言えます。ちなみに株主資本利益率(ROE)というのがあって、これもPER同様ですが日本企業は低いというデータがあるようです。欧米企業は20~25%で日本企業は10~15%だそうです。
ちなみに今PER(株価収益率)を見ると15%になってました。2年前よりだいぶ良くなってるんですね。見方が間違ってるかもですが。
http://www.nikkei.com/markets/kabu/japanidx/
ROEが低いのは、日本企業が不採算部門の人員を整理解雇できないからとあります。ここで国際的な競争力と雇用問題が結びついてくる。
インデックスファンドに投資する
株式投資というとトレーダーを思い浮かべがちなんですが、この本では如何にアクティブファンドの投資があてにならないかを指摘していてインデックスファンド(市場平均に投資)を勧めてます。結局、アクティブファンドの手数料が高い分インデックスファンドに投資していたほうが得になるそうです。これはアクティブファンドがだめというより株式投資が複雑系で予測ができないからというのがあるようです。トレーダーが市場を読んで投資するのも猿がダーツを投げて当たったところで投資するのも大差ないとか(実際にそのような研究もある)。
ETF(上場信託投資)というのがあって、これはインデックスファンドがそのまま株式市場に上場したものだそうです。企業株と並んでインデックスがあるので、普通に株を買うようにインデックスが買えるという事?ETFもたくさんあって迷うが最適なものを組み合わせるのは難しいので世界まるごとのインデックスに投資するのが良いようです。東証の「上場インデックスファンド世界株式」(1554)が買いやすいらしく、これは世界株ETFから日本株を除いたものになっています。円建てで取引されるが実際は世界の主要通貨で取引されているそうで、円安になっても大丈夫だとか?
複利とレバレッジ
「資本主義」とは複利とレバレッジによってバランスシートを拡張していく運動のことなのだ。
利回りのある貯金箱があった時に負債で資産にレバレッジをかける事でより大きな利回りが期待できる。より大きな運用益が出ればそれを次の資産として続けて投資する事で運用益はさらに大きくなっていく(複利)。
これからの世界経済はどうなるか?
- これからかつてのように上昇する →インデックスファンドに投資
- バブルの発生と崩壊を繰り返し長期的に変わらない →ドルコスト平均法
- グローバル資本主義は破綻する →投資はやめて今を楽しむ
リスク耐性が低い個人投資家にとって合理的な投資方法
暴落を待って、株価が回復するまでドルコスト平均法で分散投資すること
ドルコスト平均法は毎月同じ額で株式を購入する方法だそうです。平均的な購入単価になるのでリスク耐性があります。かつては「ナンピン買い」と呼ばれていて下策だったらしいんですが、インデックス投資であれば倒産はしないので単純にヘッジとして考えれるという事なんでしょうか。暴落時であれば上昇が期待できるので良いですね(企業だと倒産しそうなので投資できないですが市場だと破綻はまずないので暴落時への投資ができる)。
「上場インデックスファンド世界株式」(1554)の株価ですが、こんな感じになってるようです。
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=1554.T
暴落するまで気長に待てるのが個人投資家の良いところと書いてありますが、確かにそうかもしれませんね。
名目金利と実質金利
実質金利 = 名目金利 – インフレ率
金利は名目金利だけでなくインフレ率を加味した実質金利を常に意識する。
インフレ率は今はマイナスになってますね。
http://ecodb.net/country/JP/imf_inflation.html
インフレと為替
- インフレなら通貨は下落する
- デフレなら通貨は上昇する
- 金利の高い通貨は下落する
- 金利の低い通貨は上昇する
金利平衡説によってすべての通貨の実質金利が(長期的には)同じになるのなら、高金利の預金も低金利の預金もたいした違いはない。するとここから、「外貨投資につい為替リスクはない」という論理的な帰結が導き出せる。
ちょっとよく分かってないですが、為替は裁定が必ず働くので長期的には損も得もない状態に落ち着く。だから為替リスクを気にして日本国内に投資対象を限定する必要はないという事でした。
収益還元法
不動産価格 = 毎年の賃料 / 金利(5%程度に設定)
不動産はインサイダーマーケット
株式市場のようなオープンマーケットと違って不動産は情報の非対称があるインサイダーマーケットと呼ばれています。なので、素人が手を出すのは不利という事になるようです。
国民年金は有利な金融商品
国民年金の場合、男性の場合生涯寿命を勘定すると払った1.4倍が戻ってくるようです。利回りがマイナスになるようであれば誰も払わなくなって破綻するのでそれは考えにくい(納付率は今も6割)。厚生年金は企業と個人からの納付で、かつ必ず納付されるものなので、これからも厚生年金から国民年金に補填される形になりそうです。
国家破産で何が起こるか
- 国債の下落(金利の上昇)
- 円安
- インフレ
対策として特に高度な資産運用が必要になるわけではないそうです。対策としては下記が挙げられています。
- 国債ベアファンド
- 外貨預金
- 物価連動国債(デフォルトすると無意味)
外貨建てで金融資産を持っておくのが王道だそうです。